あれは、中学受験のとき。
第一志望の学校の合格発表欄に、自分の名前はありませんでした。
第二志望の学校にも、同じく自分の名前はありませんでした。
それまで受験をしたことのなかった自分が、はじめてチャレンジしたのが中学受験。
そこで連続して不合格となり、まさに初チャレンジ失敗。
思い返せば、自分の人生は、うまく行かないことから幕を開けたのです。
しかたなく第三志望である学校に何とか入り、それから僕の中学生活は始まりました。
しかしそのあと中学・高校と勉強を続け、何とか第一志望である東京大学理科II類に合格。
そのまま医学部に進み、精神科医となり、100冊近くの書籍を出させていただき、今はクリニックを6院経営させていただいています。
僕自身、まだまだと感じている部分はありますが、それでもうまく進んできたのは確かです。
たぶん外から見ると
「ものすごい努力をしたのでは?」
「すごい苦しさに耐えて、頑張ったのでは?」
なんて思えるかもしれません。
もしくは
「何も苦労がなくうまく行っている」
「たまたま運が良かったのでは?」
なんて思われる方もいるかもしれません。
しかし、そのどちらも正しく、どちらも間違いです。
僕自身、古今東西、色々な知識を学び、そこから得られた「成功するための方法論」に基づいて行動したに過ぎません。そのため決して「運」だけではありません。
また、だからといって、苦労したつもりもありません。
その方法論に基づいて行動した結果、楽しみながら、毎日の行動を繰り返すことができました。
この本では、その「成功するための方法論」について語っています。
これに従えば、どんな方でも、楽しみながら毎日を生きていき、そして思い描く夢を実現していくことができるはずです。
一つ一つの方法は、本当に簡単なことです。
でも誰もが、気づくまで実行することはできません。
「知っている・知らない」の差は、本当に大きいのです。
まずは気持ちを楽にして、読んでみてくださいね。
やりたいことを実現するためにはどんな考え方が必要なのでしょうか?
本の中に登場する心理テストを通じて考えてみましょう。
目標に向かって励んでいる途中で心が折れそうになったことはないでしょうか?
どうすれば気持ちをキープできるのか、その秘訣は?
さて、解説です。
実は、ここで2つの心理法則をお伝えします。
1つが「自己確認」と「自己拡大」。
「自己確認」とは、自分がすでに知っていることにたいしてほめられること。
たとえば「自分は綺麗だ」と分かっている人が、「綺麗」と言われるような場合です。
「あぁ、やっぱりそうなんだ」と認識するわけで、これはそこまで嬉しくないとされています。
もう一つの「自己拡大」とは、自分がすでに知っていること以外のところでほめられること。
「自分は綺麗だ」と思っている人が、「よく気がつくね」「優しいね」などのように、認識していない部分をほめられることです。
これは非常に嬉しいこととされています。
すなわち、もし何かをほめるのなら、言われ慣れていない「自己拡大」のほめ言葉を使うに越したことはないのです。
そして、もう1つの心理法則があります。
実は自己暗示法の創始者である、催眠療法家エミール・クーエは、
「同じ言葉を何度も繰り返すことで、人を強い暗示にかけることができる」
と言っています。
たとえば「自分は頭が悪い」と思っている人に、「いや、キミは頭がいいんだ。やればできるんだ」と一度言ったとしても、そこまで心に響かないかもしれません。
しかし何度も言っていたら、言われた方も「あれっ? そうなのかな?」と思えてくるものです。
どんな言葉も、何度も繰り返していると、少しずつ力を持ってきます。
これは、ほめ言葉全般においても同じです。
1回だけでは、心に響かなかったりする可能性もあります。
しかしだからといって「意味がない」わけではありません。
何度も言うだけで、相手にインパクトを与えることもできるわけです。
これらを踏まえて選択肢を見てみましょう。
さて今回は、そのエミール・クーエの考えを、少し応用させてみましょう。
人間、どんな内容であっても、何度も聞いていることにより、よりインパクトが強くなるものです。
そのため、どんな言葉であっても、決して「一回だけ」でなく「何度も繰り返す」ということを覚えておきましょう。
恋愛だったら、「好き」という好意の言葉、また「綺麗」「優しい」などのほめ言葉。
内容は何でもいいので、「何度も言う」ということを心がけることです。
ビジネスであれば、
「繰り返しになりますが、この商品の売りは△△なんです」
ということを、一度だけでなく何度も伝える。
また「ぜひ貴社と取引をしたい」という言葉を、やはり二回以上伝える。
単純な方法ではありますが、繰り返すことで気持ちはさらに増幅されます。
相手にたいしてはもちろん、あなた自身も、「自分はそれだけ強くこのことを思っているんだ」ということが感じられます。
その結果、あなたの気持ちはより高まり、相手にたいしてさらに熱意をもって語ることだってできるはずです。
思っていることは、何度も口にする。
ここには非常に強い意味があるわけです。
さらに、クーエはこうも言っています。
「『そうしたい』ではなく『そうしよう』と言うべき」
何か、やりたいことに関しては、「したい」ではなく「しよう」。
それこそ決まっているかのように心がけるだけでも、気持ちはどんどん前向きになり、進んでいけるというわけです。
たとえば
「新しい仕事を始めたい」ではなく「新しい仕事を始めよう」。
「好きな人に声をかけたい」ではなく「好きな人に声をかけよう」
すごくシンプルな言い換えですが、効果は強く表れるものです。
大切なことは、何より自分にたいして、強く暗示をかけること。
あなたも「したい」ではなく「しよう」と言い換えてみてください。
それだけで、気持ちはさらに強まり、色々なものごとの成功率はさらにアップするはずです。
悲しいことですが、どんなに強い気持ちも、時間と共に、薄れていきます。
それを防ぐための方法はたった一つ。
ただひたすらに、その気持ちを言葉にして、繰り返すことです。
しつこいほどに、何度も何度も言う。
これだけで、薄れかけた思いは、何度でも復活していきます。
あなたにも、忘れていた何かがあるのではないでしょうか?
もっと素直に、その気持ちをもう一度口にしてみてくださいね。